ベートンの町を後にして国境を越え、マレーシア側の国境の町バリンにやってきた。バリンはベートンよりもずっと小さな町で、食堂も数えるほどしかない。あまり元気のいい食堂もないのだけど、そんな中いつも朝から席が埋まっている一軒がある。主に麺料理を出す食堂で、他にトーストなども食べられる。同じ並びに鶏飯食堂などもあるのでそれらも注文できると思う。他にお菓子を並べて売っている人などもいた。店内は飲み物を作る調理場になっていてテーブルはすべて外。路上の屋台のような店構えだけど、機能的には立派なコピティアムだ。
麺料理の調理場は店頭にある。てきぱきと麺を扱うおじさんの動きが独特だ。鹵面を注文するとこちらを見もせずに「没有(ない)」と言い放つ。多忙な仕事人という感じがしてかっこいい。よく見ると鹵面は日曜日限定と書いてある。だったら何にしようかと再びメニューを見ると「云吞面 Ko lo Mii」の文字が目に入った。雲呑面なのか哥罗面なのか。出てきたのは揚げワンタンの載った哥罗面といった感じの和え麺だった。タレのよく絡んだ麺のコシがすごい。まるでゴムのようで、おいしく食べられるぎりぎりのコシの強さという感じがする。私はコシの強い麺は好きなのでうれしくなってしまった。うきうきしながら麺を頬張り添えてあるスープを口にすると、衝撃が走る。貝の出汁に似た強い旨味がある。でも、貝ではないかもしれない。いったい何の出汁なのだろう。とてもおいしい。この手のスープには期待も注目もしていなかったのでびっくりしてしまった。地方の小さな町でこんなおいしいものが出てくるのはマレーシアの底力だと思う。
哥罗面 5リンギット(約150円)
琳茶餐室 Kedai Kopi Leng
7:00〜1400 金曜定休
2023年6月1日8時頃に訪問