友達がおいしそうなあさりのヌードルを見つけたと言う。宿泊先から近いレストランの名物料理のようだった。食べに行ってみようかということになったのだけど、その前に行ったICC Puduのフードコートでたまたまその「ララヌードル」を出す別のお店を見つけた。人気のようで、混雑の中次々と盛り付けては運んでいる。その実際に目にしたララヌードルがずいぶんとおいしそうに見えて、ついそこで食べてしまった。それがとてもおいしかった。それで翌日にまた一人で食べに行ってしまった。
ララヌードルのララは啦啦と書く。マレー語であさりのような二枚貝のことをlalaというらしい。調べてみると、マレー語のlalaは閩南語で二枚貝を指す「蜊」から来ているようだった。中国語由来のマレー語に改めて漢字を当てたということなのだろうか。マレーシアは異なる文化の混沌とした交錯がおもしろい。啦啦米や啦啦米粉と書くらしく、 他の麺を選べるお店もあるみたいだけど基本的にビーフンで食べるものみたいだった。
日本人なら見た目でその風味は想像がつくかもしれない。あさりの出汁がこれでもかというぐらいに出たスープ。たぶんいくらか味を調える程度でそんなにいろんなことはしていないように思う。その素朴ながら芳醇なスープの中に沈むビーフンはふにゃふにゃと頼りないものではなくしっかりとしていてコシがある。麺を口の中に含みレンゲですくった濃厚なあさり出汁スープを吸い込む。口の中で米麺と貝の出汁が再会する。そこに二枚の殻のあいだからそうっと取り出したあさりの身に醤油ベースのタレをちょんとつけたものを放り込む。噛みしめると広がる潮気。海の香りの口溶け。一目惚れに間違いはなかった。飲み込むと同時に風味が鼻から抜けていく。満ち足りたため息が出る。
私はこの料理を知らなかった。友達が見つけて教えてくれなかったら出会えなかったかもしれない。まったく知らない料理を初めて口にするのは楽しい体験だった。どうもこのララヌードルを出すところはそんなにたくさんはないみたいなので、見つけるたびに食べてみたい。
啦啦米粉 11リンギット(約330円)
啦啦米粉 鴨蛋炒粉(ICC Pudu G-71)
6:30〜14:00 月曜定休
2023年6月某日8時半頃に訪問