もの食う犬
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MRTピンクラインの仮開業に伴い、沿線の食堂をまとめたタグを作りました。(2023/11/25)

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東南アジア~南アジアの食堂を食べ歩いています。特にアジア各地の中華系のごはんが好きです。よく出没する国は、タイ、マレーシア、インド。亜細亜麺通記の人。犬の写真を撮るのが少し得意です。東南アジア在住。

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アンドラプラデシュ式のミールスで初めての手食 / ザ・ナショナル・ロッジ

ジョージタウンにミールスを食べに行った。タミルナドゥ式のものではなくアンドラプラデシュ式のミールスらしい。入口のMeals Readyはタミル語ではなくテルグ語らしき文字が筆頭になっている。狭い階段を上がっていくと食券を買う窓口があり、お金を払って食券を受け取るとさらに階上へ行くよう促された。意外なことにこの古めかしい建物の最上階には小さなエアコン部屋があり、そこから待ち構えていたように出てきたおじさんが脇にある洗面台を指してそこで手を洗うように言う。不意にミールス体験がスタートした。

ミールスというのはメニューの名前というよりはその体験そのものをそう呼ぶかのように感じることがある。ごはんをおなかいっぱいに詰め込まれる体験。私のような初心者にとってミールス体験は給仕の人の先導で進んでいく。手を洗いエアコン部屋に入り席に着くと目の前にバナナリーフが置かれ次々といろいろなものが盛られていった。ひと通り揃ったところでおじさんがさあ食べなさいというような仕草をする。しかしスプーンがない。たいがい外国人と見るとスプーンを添えてくれるものなのだけど、このときは見当たらなかった。言えば持ってきてくれただろうけど、それも何だか野暮な気がした。私はいわゆる手食は長いこと避けてきた。たいした理由はなく、ただ慣れた食べ方で食べたいだけだった。手を汚すのも何だかめんどうな気がした。このとき私は初めてインド料理を自分の手で食べてみることにした。

熱い。ただ手で食べるだけのことだと思っていたけど、いざやってみるとやり方がよくわからない。背後に立つおじさんにちらと視線を送ると「こういう感じでミックスするんだよ」と指導してくれる。おそるおそる混ぜてみる。手が止まると後ろから「ミックス!ミックス!」と声がかかる。さながらミールス修行といった様相になってきた。私は言われた通りにミックスする。斜め向かいに夫婦らしきおじさんとおばさんがいたから、彼らの食べ方をちらちらと盗み見る。真似をする。手からごはんがこぼれて上手く口に入らない。悪戦苦闘していると、おじさんにこっちもミックスしようなどと指示される。なかなか忙しい。言われるがまま、見たままにこなしていく。夫婦を見ていると、ちょこっと混ぜて馴染ませる程度ではなく、わりとくどくどと混ぜ合わせてから口に運んでいる。やってみてわかったのだけど、手で混ぜ合わせるとお米のつぶ一つ一つに少しずつグレイビーやチャトニが馴染んでいくような感じがある。短い時間のあいだにだんだんとわかったような気になってくる。楽しい。

途中でさらにサンバルのようなものやヨーグルトなどが追加されていった。ミールスの全貌を一枚の写真に収めることはできない。食べ進めていくにつれて給仕の人によって少しずつアップデートされて姿を変えていく。ひと通り食べ終えたところでさらにごはんを追加しようとするおじさんを静止して、おなかいっぱいになり満足したことを伝えた。それから親切で楽しい指導にお礼を言って出てきた。すてきな体験をした。

ミールス 170ルピー(約310円)

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