海南式のタイスキを出すというお店に行ってみた。海南式のタイスキは食べたことがないけど、海南華人の食堂で見たことはある。たぶん腐乳を使ったタレで食べるのだと思う。スアンルアンスクエアという商業施設の集まる一角の中にありどことなく近代的な店構えだけど、1955年から続く老舗なのだそう。メニューを見ると、ここは牛肉が売りのようだった。今回はタイスキではなくて、その牛肉で作るオイスターソース炒めを頼んでみた。炒めものをごはんに載せて目玉焼きを添えるお馴染みの注文食堂スタイルで出てくる。しかし、値段は注文食堂のそれとはだいぶ違う。期待してしまう。
タイには観音信仰などを理由に牛肉を食べない人が意外と多い。観音様の父上は観音様が仏の道に入ることに反対したために地獄で裁きに遭い、罪を償うために生まれ変わって牛になったのだそう。そのせいなのか、タイでは牛肉は普通に食べられるものの豚肉や鶏肉ほどはポピュラーでなく、おいしい牛肉に出会うこともあまり多くはない。だから、おいしい牛肉で作るオイスターソース炒めというのは少し特別な感じがする。出てきた料理は、やわらかいけどしっかりとした歯応えのある薄切りの牛肉にオイスターソースがよく絡んでいておいしかった。噛むほどにじんわりと旨みが広がる。牛肉には豚肉や鶏肉にはない肉の旨みがあると思う。次回は海南式のタイスキでこの牛肉をおなかいっぱい食べてみたい。
牛肉のオイスターソース炒めごはん＋目玉焼き 120バーツ（約480円）
